バターの香りに包まれて。フィナンシェが「金塊」の形になった、パリ証券街の粋な物語

洋菓子
仕事の合間、ちょっとした息抜きにコーヒーを淹れるとき。お供に選びたくなるのが、あの芳醇なバターの香りが漂うフィナンシェです。袋を開けた瞬間に広がる香ばしさは、それだけで「午後も頑張ろう」という元気をくれますよね。

数ある焼き菓子の中でも、独特のしっとり感とコクが魅力のフィナンシェ。実はこのお菓子、19世紀のフランス・パリで、ある特定の職業の人たちのために工夫されたものだったことをご存じでしたか? 実は、「忙しくて手が汚せない」という切実な願いから今の形になったんです。

1890年頃、パリの証券取引所近くで生まれた「発明」

フィナンシェの歴史を語る上で欠かせないのが、1890年頃にパリの証券取引所(パレ・ブロンニャール)のすぐ近くにお店を構えていた菓子職人、ラズ(Lasne)という人物です。

当時、彼の店には多くの金融関係者(フィナンシェ)が訪れていました。彼らは常に時間に追われ、立ち食いでお菓子を食べることも多かったのですが、当時のケーキは崩れやすかったり、手が汚れたりするのが悩みでした。そこでラズ氏は、「スーツを汚さず、ナイフやフォークを使わなくても一口で食べられる、丈夫で贅沢なお菓子」として、アーモンドパウダーをたっぷり使った焼き菓子を考案したのです。

17世紀からあった「修道女の知恵」

ラズ氏が広める以前にも、実は17世紀のナンシーにある「ラ・ヴィジタシオン修道院」で、修道女たちが肉食を控える期間の栄養源として、卵白を使ったアーモンド菓子を作っていたと言われています。この伝統的なレシピに、ラズ氏がパリの感性を加えて、今の洗練された姿に仕上げたんですね。歴史のバトンが繋がっているのを感じて、なんだか胸が熱くなります。

名前の由来:なぜ「フィナンシェ」と呼ぶの?

さて、気になる名前の由来を丁寧にご紹介しましょう。フランス語で「financier(フィナンシェ)」は、ずばり「金融家」や「金持ち」を意味する言葉です。

証券取引所の近くで働く金融マンたちに愛されたから、という理由はもちろんですが、もう一つ大きな特徴があります。それは、あの「長方形の形」です。この形は、金融家たちが好む「金塊(インゴット)」を模して作られました。縁起が良い贈り物として、当時のパリで大流行したのも納得です。「一口食べれば、豊かになれる」……そんな願いを込めて作られたのかもしれないと感じました。

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実は私、焼きたてのフィナンシェの「角」の部分がカリッとしているのが一番の幸せなんです!焦がしバターの香ばしさとアーモンドのコクがぎゅっと詰まっていて、まさに「黄金の味」という感じ。金塊を頬張っているような贅沢な気分になれるので、落ち込んだ日の特効薬にしています。

バターの魔術:フィナンシェを特別にする製法

よく似たお菓子に「マドレーヌ」がありますが、決定的な違いはバターの使い方にあります。フィナンシェの命は、なんといっても「ブール・ノワゼット(焦がしバター)」です。バターを火にかけ、ヘーゼルナッツのような色と香りがつくまで煮詰めることで、あの唯一無二の深みが生まれます。また、卵黄を使わず卵白のみを使用することで、アーモンドの風味を最大限に引き立て、独特のしっとりした食感を生み出しているんです。

パリの忙しい金融マンたちが、仕事の合間に束の間の休息として楽しんだフィナンシェ。その背景にある、効率性と贅沢さを両立させた職人の知恵に、改めて感謝したくなりますね。

まとめ:フィナンシェの物語を振り返って

  • 起源は1890年頃。パリの証券街で菓子職人ラズ氏が広めた。
  • 名前の由来は「金融家(フィナンシェ)」。忙しい彼らのために一口サイズで作られた。
  • 形は「金塊(インゴット)」を模しており、縁起物としての意味も持っている。
  • 卵白焦がしバター(ブール・ノワゼット)をたっぷり使うのが、美味しさの秘密。

次にフィナンシェを手に取るときは、その「黄金の形」をじっくり眺めてみてください。130年前のパリの喧騒の中で、一生懸命働いていた人たちの姿が目に浮かんでくるかもしれません。今日も、ちょうどいい甘さで、心豊かなひとときを過ごせますように。

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