崩して食べるのが正解?「千の葉」という名を持つミルフィーユ、17世紀から続くサクサクの歴史

洋菓子
ケーキ屋さんのショーケースの中で、ひときわ存在感を放っているミルフィーユ。フォークを入れた瞬間に「パラパラッ」と生地が崩れてしまい、綺麗に食べるのに苦労した経験はありませんか?実は私もその一人。でも、あの何層にも重なるパイ生地の香ばしさと、濃厚なカスタードの組み合わせを思い出すと、ついつい手が伸びてしまうんですよね。

この芸術的なお菓子、実はその歴史を辿ると、17世紀のフランスまで遡ります。一見、複雑に見えるその構造には、当時の職人たちの情熱と、名前に込められた素敵な意味が隠されているんです。

1. 始まりは1651年。天才シェフが記した「新しいパイ」

ミルフィーユの原型が初めて文献に登場したのは、1651年のこと。フランス料理の父とも呼ばれるフランソワ・ピエール・ド・ラ・ヴァレンヌが著した料理本『フランスの料理人』に、その製法が記されていました。

その後、19世紀に入ると、現代フランス料理の基礎を築いた「シェフの王」ことマリー=アントナン・カレームがレシピを完成させ、一気に洗練されたお菓子へと進化しました。さらに1867年、パリの菓子職人アドルフ・スニョが自分の店で「ミルフィーユ」として売り出したことで、パリっ子たちの間で大ブームとなったんです。約150年以上も前に、今の私たちが食べている形がほぼ完成していたなんて、驚きですよね。

2. 名前の由来:「千の葉」というロマンチックな響き

さて、この素敵な響きを持つ「ミルフィーユ」という名前、その語源を丁寧にご紹介しましょう。フランス語で「mille(ミル)」は「1,000」「feuille(フィユ)」は「葉」を意味しています。

つまり、「千の葉(枚)」という意味なんです。パイ生地を何度も折り畳んで作ることで、薄い層が幾重にも重なり、それがまるでたくさんの木の葉が重なっているように見えたことから名付けられました。実際には何枚の層があるかご存じですか? 伝統的な製法では、生地を3つ折りにして6回繰り返すため、計算上は729層になります。「1,000」には届きませんが、「数え切れないほどたくさんの」という比喩が込められていると感じました。

もうひとつの呼び名「ナポレオン」

日本では苺の乗った豪華なミルフィーユを「ナポレオン・パイ」と呼ぶこともありますよね。これは、フランス語で「最高の」という意味を込めてナポレオン皇帝の名を冠した説や、イタリアのナポリ風の仕立て(ナポリタン)が変化した説などがありますが、いずれにせよ「お菓子の王様」としての敬意が込められているんです。

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ミルフィーユを食べるとき、最初から横に倒して、パイの層を断ち切るように垂直にフォークを入れると綺麗に食べられる……というコツを聞いてから、外食でも怖くなくなりました!パイの塩気とカスタードの甘みが口の中で合わさるあの瞬間、まさに「千の葉」が舞い上がるような幸せを感じちゃいます。

3. 日本での進化:銀座から広まった苺の魔法

日本でミルフィーユが広く愛されるようになったきっかけの一つに、1966年に銀座にオープンした「銀座マキシム・ド・パリ」の存在があります。ここの看板メニューだった「苺のミルフィーユ」は、当時のスイーツ好きにとって憧れの的でした。

本場フランスではパイとクリームだけのシンプルなものも多いのですが、日本では苺を主役にしたスタイルが独自に進化しました。バターたっぷりのパイ生地に、甘酸っぱい苺。この組み合わせは、日本の職人たちが辿り着いた、ひとつの完成形だと言えるでしょう。今ではコンビニでも手軽に買えるようになりましたが、その背後には半世紀以上にわたる日本での歴史が積み重なっているんですね。

まとめ:ミルフィーユの物語を振り返って

  • ルーツは1651年。フランスのシェフ、ラ・ヴァレンヌの著書に登場した。
  • 名前の由来はフランス語で「千の葉」。幾重にも重なるパイ生地の層を表現している。
  • 計算上の層の数は729層。職人の熟練の技が詰まった数字である。
  • 日本では1966年の「銀座マキシム・ド・パリ」を機に、苺のスタイルが定着した。

「千の葉」という名にふさわしく、長い年月をかけて世界中で愛されてきたミルフィーユ。次にそのサクサクとした層を口にするときは、ぜひ300年以上前のパリの職人たちの手仕事に想いを馳せてみてください。きっと、いつものおやつタイムが、少しだけドラマチックな時間に変わるはずですよ。

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